家族が亡くなった後に直面するのが「相続手続き」です。
遺産相続というと「お金持ちの話」「うちは関係ない」と思われがちですが、現実にはほとんどの人に関係する手続きです。
そして、正しく流れを理解していないと、トラブルや損失が発生する可能性もあります。
この記事では、「相続 手続き 流れ」というテーマで、相続発生から完了までのステップをわかりやすくご紹介します。
初めての方でも安心して読めるよう、専門用語をかみ砕いて解説していきます。
目次
相続手続きはいつから始める?
相続手続きは、被相続人(亡くなった方)が亡くなった日=相続開始日からスタートします。
ただし、すぐにすべての手続きをする必要があるわけではなく、項目ごとに「期限」が定められているものもあります。
相続手続きの基本的な流れ【全体像】
- 死亡届の提出と火葬許可
- 葬儀・法要の対応
- 相続人の調査(誰が相続人かを確認)
- 遺言書の有無の確認
- 相続財産の調査(プラスとマイナスの両方)
- 相続方法の決定(単純承認・限定承認・相続放棄)
- 遺産分割協議
- 財産の名義変更・解約などの具体的手続き
- 相続税の申告と納税(必要な場合)
ステップ1:相続人の確定
まずは、誰が相続人になるのかを明確にします。
一般的な法定相続人の順位は以下の通りです。
第1順位:子(または孫)
第2順位:両親(または祖父母)
第3順位:兄弟姉妹(またはその子)
配偶者(夫または妻)は常に相続人となります。
戸籍謄本を取り寄せて、相続人を正確に確認することが必要です。
被相続人の「出生から死亡までの戸籍」を全てそろえる必要があります。
ステップ2:遺言書の確認
次に確認すべきなのが遺言書の有無です。
遺言書がある場合、その内容が最優先されます。遺言書には以下のような形式があります。
自筆証書遺言:本人が手書きしたもの。2020年から法務局での保管制度あり。
公正証書遺言:公証人の立ち会いで作成されたもの。確実性が高い。
秘密証書遺言:本人が内容を秘密にして保管する方式(あまり一般的ではない)
自宅の金庫や仏壇、公証役場、法務局などを探して確認しましょう。
ステップ3:財産の把握(プラス・マイナス両方)
相続財産には「プラスの財産」と「マイナスの財産」があります。
プラスの財産
預貯金 不動産(土地・建物) 株式・投資信託 貴金属 車などの動産
マイナスの財産
借金(ローン、借入金) 未払いの税金や医療費 保証人としての債務など
正確に把握することで、次の「相続方法の選択」に影響します。
ステップ4:相続方法の選択(重要!)
財産の内容が分かったら、以下の3つの相続方法から選ぶ必要があります(3か月以内に決定)。
単純承認 → すべての財産をそのまま相続する。多くの場合これを選択。
限定承認 → プラスの財産の範囲でマイナスの財産を引き継ぐ。相続人全員の同意が必要。
相続放棄 → 一切の財産を相続しない。借金が多い場合などに選択される。
放棄する場合は家庭裁判所に申述書を提出しなければなりません。
ステップ5:遺産分割協議
相続人が複数いる場合、誰がどの財産を受け取るかを話し合う場が必要です。
これが「遺産分割協議」です。
全員が合意すれば、「遺産分割協議書」を作成し、実印を押印・印鑑証明書を添付して保存します。
この書類は、銀行口座の解約や不動産の名義変更などに必要です。
ステップ6:財産の名義変更・解約手続き
実際に相続する財産の手続きを進めます。
預貯金の払い戻し・名義変更
不動産の相続登記(法務局)
証券口座の名義変更 車・保険の名義変更
手続き先ごとに必要書類が異なるため、事前に確認が必要です。
ステップ7:相続税の申告と納税(必要な場合)
相続税がかかるのは、一定額以上の財産を相続する場合のみです。
2025年現在、基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。
例:相続人が3人なら
3,000万円+600万円×3人=4,800万円まで非課税
超える場合は、10か月以内に税務署へ申告・納税が必要です。
税理士のサポートを受けることも検討しましょう。
まとめ|相続の流れを知って、慌てず確実に手続きを
相続の手続きは、一つひとつはシンプルでも、順序や期限を間違えるとトラブルになりがちです。
まずは「何を・いつまでに・誰がするのか」をしっかり把握しておくことが大切です。
以下がポイントのまとめです:
- 相続は「亡くなった日」から始まる
- 相続人・財産・遺言書を早めに確認
- 相続放棄の判断は3か月以内
- 分割協議や名義変更には書類が多数必要
- 相続税は10か月以内に申告・納税
初めての相続でも、正しい流れを知っていれば安心です。
不安な点があれば、専門家(司法書士・税理士・行政書士)への相談もおすすめです。