親族が亡くなった後に起こりがちなトラブルの一つが「相続問題」です。
テレビドラマや小説の中の話と思いがちですが、実は相続をきっかけに親族関係が壊れてしまうケースは少なくありません。
では、相続でもめないためにはどうすればいいのか?
今回は、事前にできる5つの対策を紹介します。どれも特別な知識がなくても始められることばかりです。
ぜひ参考にしてください。
1. 「うちは大丈夫」と思わない
相続でもめるのは「お金持ちの家」だけと思っていませんか?
実は、相続でもめるのは資産が5,000万円以下の家庭に多いと言われています。
理由は単純で、「少ないからこそ平等に分けにくい」「不動産だけで現金がない」など、調整が難しいからです。
家族の中で「もめるなんて考えられない」と思っていても、いざ話が始まると、「あの時こう言った」「私の方が介護していた」など感情が絡み、関係がこじれることがあります。
まずは「うちに限っては大丈夫」という思い込みを手放し、誰にでも起こり得る問題だと認識しましょう。
2. 遺言書を残す(特に公正証書遺言)
相続トラブルの最大の予防策は、遺言書の作成です。
特におすすめなのは公正証書遺言。公証役場で公証人の立会いのもと作成するため、法的に確実で、紛失や改ざんの心配もありません。
自筆証書遺言に比べて手間はかかりますが、トラブル防止には最適です。
遺言書には以下のような内容を記すと良いでしょう。
誰に、どの財産を相続させるか
特定の人に多めに遺す理由(介護・支援など)
付言事項として家族への感謝や思い
これにより、残された家族が「なぜこの配分なのか」を理解しやすくなり、納得感が得られやすくなります。
3. 財産の内容を明確にしておく
遺言書があっても、財産の内容が不透明だと、もめごとの元になります。
特に次のような項目はリスト化しておきましょう。
- 預金口座(金融機関名・口座番号)
- 不動産(登記情報・所在地・評価額)
- 保険(種類・受取人)
- 株式や投資信託
- 借金・ローン・連帯保証などの負債
家族にとっては「何がどこにあるかわからない」ことが一番困ります。
財産目録を作成しておくと、相続手続きがスムーズになり、トラブルを避けられます。
4. 家族で話し合っておく
「遺言書を書いても、話し合わなければ意味がない」こともあります。
たとえば、長男が実家を相続するとしても、他の兄弟がその意図を知らなければ、「不公平だ」と感じてしまいます。
生前にある程度、家族全員で相続について話し合っておくことが大切です。
特に以下のようなタイミングで話を切り出すのがおすすめです。
- 親の入院や介護が始まったとき
- 家族が集まる法事や正月
- 親自身が終活に関心を持ち始めたとき
話すのが難しいと感じる場合は、第三者(行政書士・ファイナンシャルプランナーなど)を交えるのも一つの方法です。
5. 専門家に相談する
相続は法律・税金・登記など専門的な知識が必要な場面が多くあります。
そのため、「揉める前に相談する」ことが大切です。
以下のような専門家がいます。
司法書士:相続登記や遺言書作成支援
税理士:相続税の申告・節税アドバイス
行政書士:遺産分割協議書などの書類作成
弁護士:相続トラブルの解決・交渉代理
トラブルが起きてからでは、時間もお金もかかります。
事前に信頼できる専門家を見つけておくことも、もめないための重要な備えです。
まとめ
相続は「突然」やってきます。
そして、感情が複雑に絡みやすい問題でもあります。
でも、少し準備するだけで、ほとんどのトラブルは防ぐことができます。
もめない相続のためにやっておくべきこと:
- 「うちは大丈夫」と思わない
- 遺言書を用意する(できれば公正証書)
- 財産を整理し、明確にしておく
- 家族で話し合う機会をつくる
- 専門家に早めに相談する
「争続(そうぞく)」ではなく、「感謝される相続」を目指して、今から少しずつ準備を始めてみませんか?