近年、「終活」や「自分らしいお墓選び」に関心を持つ方が増えています。
その中でも注目されているのが、「樹木葬」という新しい供養のかたちです。
これまで主流だった墓石のお墓とはどう違うのか、気になっている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、「樹木葬と墓石の違い」を中心に、それぞれの特徴やメリット・デメリット、選び方のポイントをわかりやすくご紹介します。
目次
1. 樹木葬とは?
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とする自然葬の一種です。
火葬後の遺骨を、墓地に植えられた木の根元や花壇の一角などに埋葬し、その木や自然そのものを「墓標」として手を合わせるのが基本スタイルです。
日本では2000年代に入ってから広まり始め、現在では全国に対応した霊園や寺院が増えています。
「自然に還る」「環境に優しい」「お墓を継がなくていい」などの理由から、特にシニア層やおひとりさま、子どもに負担をかけたくないと考える方に人気です。
2. 墓石墓とは?
墓石墓とは、いわゆる伝統的なお墓のかたちです。
家族代々で使用することを前提に、石材を用いた墓石が建てられ、個別の区画に遺骨を納める方法が一般的です。
墓石は高価で手入れも必要ですが、「家族の絆」や「宗教的な習慣」を重視する人にとっては、やはり今でも大切な存在となっています。
歴史的にも長く続いてきたこのスタイルは、今も多くの人に選ばれていますが、近年は「継承問題」や「維持費」の面で見直されつつあります。
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3. 樹木葬と墓石墓の違いとは?
ここからは、具体的に「樹木葬と墓石墓がどう違うのか」を項目ごとに見ていきましょう。
◎ 墓標の違い
墓石墓では、石でできた立派な墓標が建てられます。名前・戒名・没年月日などが刻まれ、物理的にも“家族の記念碑”としての役割を果たします。
一方、樹木葬では石の墓標は基本的に設置されません(※一部でプレート型のものを設置するタイプもあり)。
代わりに、シンボルツリー(桜・ハナミズキ・ヤマボウシなど)や、草花の植えられた自然の景観が墓標の代わりとなります。
「自然とともに眠る」ことを重視する考え方が、墓石とは大きく異なるポイントです。
◎ 継承・管理の違い
墓石のお墓は「代々継ぐもの」という考え方が前提にあります。
そのため、後継ぎがいないと「無縁墓」になる可能性があり、家族や親族の誰かが管理や費用を負担し続けなければなりません。
これに対して、樹木葬の多くは「個人墓」や「夫婦墓」であり、継承を前提としない契約が一般的です。永代供養が含まれていることが多く、契約後は霊園や寺院が管理してくれるため、後継者がいなくても安心です。
◎ 費用の違い
墓石のお墓は土地の取得費用・墓石の設置・彫刻・納骨堂の設置などが必要で、全国平均で100万円〜200万円ほどかかるのが一般的です。
これに加えて、毎年の管理費(数千円〜数万円)もかかるため、長期的な維持費も考慮が必要です。
一方、樹木葬は30万円〜80万円前後が主流で、霊園によっては10万円台のプランもあります。
また、「管理費不要」や「永代供養付き」のプランも多いため、経済的にも選ばれやすくなっています。
◎ 宗教的な違い
墓石墓は仏教を中心とした宗教的背景が強く、「〇〇家之墓」や「〇〇家累代」などの形式が一般的です。
そのため、宗派による儀式や納骨の方法などに縛りがある場合もあります。
樹木葬は、宗派不問・無宗教OKのところが多く、誰でも利用できるのが魅力のひとつ。
宗教的な儀式にこだわらず、もっと自由なスタイルを求める人には向いています。

4. 樹木葬のメリットとデメリット
【メリット】
- 継承者がいなくてもOK(永代供養付きが多い)
- 費用が安く、管理費不要な場合も
- 自然に還るという理念が魅力
- 宗教不問・無宗教でも利用できる
【デメリット】
- 墓石のような“形”が残らない(寂しさを感じる人も)
- 合祀(他人と同じ場所に埋葬)タイプだと遺骨の取り出しができない
- お参り場所がわかりにくい場合もある
5. 墓石墓のメリットとデメリット
【メリット】
- 長年の歴史と伝統があり、安心感がある
- 家族で一緒に入る「先祖代々の墓」として使える
- 物理的な墓石があるので手を合わせやすい
【デメリット】
- 費用が高く、維持管理が必要
- 継承者がいないと無縁墓になるリスク
- 宗教や地域の慣習に縛られやすい
6. どちらを選ぶべき?判断ポイント
「どちらのほうがいいか」は、一概には言えません。大切なのは、自分や家族の価値観に合ったものを選ぶことです。
子どもにお墓の管理を任せたくない → 樹木葬
自然に還るという考えに共感する → 樹木葬
家族のお墓を代々守っていきたい → 墓石墓
目に見える場所にお参りしたい → 墓石墓
また、最近では「墓石のある樹木葬」や「個人墓の樹木葬」など、両者のよさを取り入れたスタイルも増えています。霊園や寺院によって特徴が違うため、複数の施設を見学・比較することをおすすめします。
まとめ
樹木葬と墓石墓の違いは、墓標の形式や継承の考え方、費用、宗教的背景など多岐にわたります。
どちらもそれぞれに魅力と課題があり、どちらが正解というものではありません。
「どのように眠りたいか」「どんな風に手を合わせてもらいたいか」
それを考えることは、今をどう生きるかにもつながっていきます。
大切なのは、自分らしい選択をすること。
ぜひ家族とも話し合いながら、納得のいく供養のかたちを見つけてくださいね。