墓じまいはいつやるべき?タイミングと判断基準を徹底解説

近年、「墓じまい」という言葉を耳にする機会が増えました。

少子高齢化やライフスタイルの変化により、「お墓の管理が難しい」「後継者がいない」といった理由から、墓じまいを選択する方が増えています。

しかし、いざ自分が当事者になると、

「墓じまいって、いつやればいいの?」

「親の代でやるべき?それとも自分が高齢になってから?」

といった疑問や迷いが出てくるのも自然なことです。

この記事では、墓じまいの適切なタイミングや判断基準、進め方のポイントをわかりやすく解説します。

【わたしたちの墓じまい】

墓じまいとは?基本のおさらい

まず、「墓じまい」とは何かを簡単におさらいしましょう。

墓じまいとは、現在あるお墓を撤去し、遺骨を別の場所(納骨堂や永代供養墓、樹木葬など)に移す手続きのことです。

正式には「改葬(かいそう)」と呼ばれ、自治体への申請や、寺院・霊園との調整などが必要になります。

墓じまいには、次のような理由がよく挙げられます。

  • 遠方にあって管理できない
  • 墓守がいない(子どもがいない・継がない)
  • 維持費や管理費の負担が重い
  • 家族の形が変わり、代々のお墓を続けられない
  • 自分の代で墓を整理しておきたい

こうした背景から、「いずれは墓じまいが必要」と考えている方は多いはずです。では、いつやるのがベストなのでしょうか?

墓じまいのタイミングは「人それぞれ」──でも“早すぎる”はない

結論から言えば、墓じまいの正解のタイミングは「人それぞれ」です。

ですが、多くの方が「もっと早くやっておけばよかった」と感じるのも事実。

以下では、墓じまいを検討・実行する具体的なタイミング例を紹介します。

1. お墓の管理が困難になってきたとき

年齢的に墓参りが負担に感じる…

墓地が遠方で交通費や時間がかかる…

維持管理に手が回らない…

こうした状況が増えてきた場合、「無理をして続ける」よりも「無理になる前に整理する」ことが大切です。

元気なうちに手続きをしておくことで、家族に任せる必要もなくなります。

2. お墓の後継者がいない・継ぐ人がいないと分かったとき

「自分に子どもがいない」「子どもは遠方に住んでいて継がない」という場合は、早めの墓じまいを検討すべきです。

いざ自分が亡くなったあと、お墓の管理者がいないと“無縁墓”になってしまうことも。

そうなれば、最終的に自治体が撤去することになり、費用や手間を残された人が負うことになります。

3. 家族と話し合えるタイミングが取れたとき

墓じまいには、家族や親族との話し合いが欠かせません。

特に代々続いてきたお墓を整理するとなると、感情的な反発が出ることもあります。

逆に言えば、「家族と落ち着いて話ができるタイミング」が来たときは、墓じまいを進めるチャンスでもあります。

4. お寺との関係を整理できるとき(離檀の準備が整ったとき)

お寺の墓地(寺院墓地)にお墓がある場合、「離檀(りだん)」という手続きも必要になります。

この際に、離檀料の支払いや住職との話し合いが発生することも多く、心の準備も大切です。

良好な関係を保ったまま離檀するためにも、冷静に相談できる状況のときに行動するのが望ましいでしょう。

5. 法事や命日などで親族が集まる時期

年忌法要や命日など、親族が集まる機会にあわせて話し合いを行い、そのまま墓じまいの流れに入るケースもあります。

「みんなで一緒にお墓参りをしたあと、きちんと閉める」という形を取ることで、家族の気持ちにも区切りがつきやすくなります。

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墓じまいを先延ばしにするリスクとは?

「まだ元気だし、もう少し先でもいいかな…」

そう思って墓じまいを先延ばしにしていると、次のような問題が起こる可能性があります。

自分で判断・手続きできなくなる 子どもや親族が突然の対応に追われる 家族内で意見が割れ、トラブルになる 墓地の制度変更(再開発・閉鎖)などで動けなくなる 費用がかさむ(改葬先の選択肢が減る、業者が限られる)

墓じまいは、ある程度時間もエネルギーも必要な作業です。

だからこそ、「元気なうち」「判断力のある今」がベストタイミングとも言えるのです。

墓じまいを検討し始めたら、まず何をすればいい?

  • お墓の場所・名義・宗派を確認
  • 家族・親族と今後の方針を話し合う
  • 改葬先(永代供養墓・納骨堂など)を探す
  • 現在の墓地管理者(霊園やお寺)に相談する
  • 改葬許可申請や離檀届などの手続きを進める

実際には、お墓の移転先(改葬先)を先に決めることが大事です。移転先が決まらないと、今の墓を撤去できないためです。

まとめ|「迷っている今」が一番動きやすいとき

墓じまいは、人生の中でそう何度も経験するものではありません。

だからこそ、決断に迷い、不安を抱えるのは当然です。

ですが、ひとつ言えるのは——

「もっと早くやればよかった」という声は多くても、「早すぎた」と後悔する人は少ないということ。

家族のため、自分のため、そして大切な人たちの安心のために、

「墓じまい、そろそろ考えてもいいかもしれない」と思った今が、まさに行動のチャンスです。



ABOUTこの記事をかいた人

1982年生まれ。 現在は神道に関わる仕事に就き、多くの生死を見つめる。 あるとき「父が帰ってこない」と母から電話を受けて、騒ぎになった。 父は81歳で認知が始まっていた。警察に連絡し捜索が始まる直前、ふらりと帰ってきてことなきを得た。 物忘れが激しく、いずれ僕の名前も忘れるだろう。 終活を始めるのは、今しかないと思い、両親とともに様々な終活を開始。 家族は、妻と6歳の長男。 趣味は小説執筆、映画鑑賞など。