墓じまい後の改葬先、どう選ぶ?種類と選び方のポイントを徹底解説

「墓じまいを考えているけれど、遺骨をどこに移せばいいのかわからない」

「改葬先って、どうやって選べば後悔しないの?」

近年、少子高齢化や核家族化の影響で「墓じまい」をする方が増えています。

しかし、実際に手続きを進める段階でつまずきやすいのが「改葬先」の問題です。

移す先によって費用も管理方法も異なり、「どれが正解かわからない」と迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、墓じまい後の改葬先の種類と、それぞれの選び方のポイントや注意点をわかりやすく解説します。

改葬先とは?墓じまいとセットで考えるべき理由

「改葬」とは、すでに埋葬されている遺骨を別の場所に移すことを指します。

墓じまい(お墓の撤去・整理)とセットで行うのが一般的です。

墓じまいをするには、新しい遺骨の受け入れ先(=改葬先)を確保することが法律上の必須条件。

市区町村へ「改葬許可申請書」を提出する際、改葬先の受け入れ証明書が求められます。

そのため、改葬先の選定は墓じまいを進めるうえで最初の、かつ重要なステップといえます。

改葬先の主な選択肢

改葬先には、主に以下の5つの種類があります。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、家族構成や価値観、費用面などをふまえて選びましょう。

1. 永代供養墓(えいたいくようぼ)

寺院や霊園が永続的に供養・管理してくれるお墓です。

個別に墓石を建てる場合もあれば、合同墓(合葬)として遺骨を納めるタイプもあります。

こんな人におすすめ:

子どもに負担をかけたくない

管理費をかけたくない 無縁墓にしたくない

メリット:

  • 管理不要で安心
  • 費用が比較的安い
  • 宗派不問の施設も多い

デメリット:

  • 合葬タイプだと遺骨の取り出し不可
  • 一部、供養の形式が固定されている場合も

2. 納骨堂(のうこつどう)

ビルや屋内型施設内にある近代的なお墓。都心部を中心に増えています。

ロッカー型、仏壇型、自動搬送型などさまざまな形式があります。

こんな人におすすめ:

雨の日も快適にお参りしたい

車がなくてもアクセスしやすい場所がいい

継承者がいなくてもよい

メリット:

  • 駅近・バリアフリーで便利
  • 天候に左右されない
  • 永代供養プランも選べる

デメリット:

  • 施設の維持状況に左右されやすい
  • 一部は使用期限付きのものもある

3. 樹木葬(じゅもくそう)

墓石を建てず、樹木や草花の下に遺骨を埋葬する自然葬の一種。

自然との共生を重視する方に人気が高まっています。

こんな人におすすめ:

  • 環境に配慮したお墓がいい
  • 形式ばらない供養がしたい
  • 墓石や仏具などにこだわらない

メリット:

  • 景観が自然でやさしい
  • 管理費がかからないケースもある
  • 宗教・宗派不問の場所が多い

デメリット:

  • 場所によってはアクセスが悪い
  • 一度埋葬すると遺骨の取り出しができない場合も

4. 合祀墓(ごうしぼ)

他の遺骨と一緒に納骨され、墓石のない合同のお墓。

費用が抑えられ、管理不要という点で選ばれます。

こんな人におすすめ:

費用を抑えたい

無縁墓になるのを防ぎたい

形式にこだわらない

メリット:

  • 費用が最も安い傾向にある
  • 継承者不要・管理不要

デメリット:

  • 個別の供養ができない
  • 遺骨の返還・移動ができない

5. 自宅供養・手元供養

遺骨の一部を手元に残し、自宅で供養するスタイル。

小型の骨壷やアクセサリーに加工するケースもあります。

こんな人におすすめ:

身近に故人を感じたい

菩提寺や霊園に縛られたくない

合葬には抵抗がある

メリット:

  • 自由な供養スタイルが可能
  • 宗教に縛られない

デメリット:

  • 管理者が亡くなると無縁になる可能性
  • 法律上の制限がある(散骨との兼ね合いなど)

【わたしたちの墓じまい】

改葬先を選ぶ際の5つのチェックポイント

それぞれの選択肢のメリット・デメリットを踏まえた上で、次のポイントも確認しておきましょう。

1. アクセスの良さ(立地)

将来的に誰かがお参りに行く場合、アクセスのしやすさは重要です。

公共交通機関で行けるか、駐車場はあるかも確認しましょう。

2. 管理体制・運営者の信頼性

運営元がしっかりしているか(公営・宗教法人・企業など)や、

永代にわたって管理される体制かどうかも確認しておくと安心です。

3. 宗派・信仰の制限

場所によっては特定の宗派しか利用できないこともあります。

無宗教や他宗派の方は、宗教不問の施設を選ぶとよいでしょう。

4. 費用とプラン内容

初期費用(永代使用料)や管理費、供養費、法要の料金などをトータルで比較しましょう。

「安いと思って選んだら、追加費用がかさんだ」ということもあります。

5. 遺族の同意と将来の継承

改葬先は自分だけでなく、家族や親族の意向も尊重しながら決めることが重要です。

のちにトラブルにならないよう、事前にしっかり話し合いましょう。

改葬先が決まったら次にすべきこと

  • 改葬先から「受け入れ証明書」を発行してもらう
  • 現在の墓地管理者から「埋蔵証明書」を取得する
  • 住んでいる自治体に「改葬許可申請書」を提出する

これらの書類がそろって初めて、法的に遺骨を移すことができます。

書類の形式や必要な情報は自治体によって異なるため、早めに確認しておきましょう。

まとめ|「今の暮らし」と「これからの供養」に合った選択を

墓じまい後の改葬先を選ぶことは、単なる場所選びではありません。

自分や家族の価値観に合った「供養のかたち」を考えることでもあります。

管理の手間をなくしたい 費用を抑えたい 自然に還る方法を選びたい 家族が無理なく供養できる環境を整えたい

…それぞれの想いに合った改葬先を見つけることが、後悔のない墓じまいの第一歩です。

迷ったときは、専門家や霊園相談窓口に問い合わせるのもおすすめです。

大切な供養を、納得のいくかたちで進めていきましょう。



ABOUTこの記事をかいた人

1982年生まれ。 現在は神道に関わる仕事に就き、多くの生死を見つめる。 あるとき「父が帰ってこない」と母から電話を受けて、騒ぎになった。 父は81歳で認知が始まっていた。警察に連絡し捜索が始まる直前、ふらりと帰ってきてことなきを得た。 物忘れが激しく、いずれ僕の名前も忘れるだろう。 終活を始めるのは、今しかないと思い、両親とともに様々な終活を開始。 家族は、妻と6歳の長男。 趣味は小説執筆、映画鑑賞など。