「親に終活の話、どう切り出す?」言いにくいけど大切な話をスムーズに進めるための5つのヒント

「親に終活の話をしたいけれど、なんだか言いにくい…」

「話そうとすると、“縁起でもない”と怒られてしまう」

「自分は準備しておきたいけど、親が向き合ってくれない」

こんな悩みを抱えている方は、あなただけではありません。

実は、「親に終活の話をどう切り出すか分からない」という悩みは、40代〜50代の子世代にとって共通のテーマです。

しかし、話をしないまま時間が過ぎると、いざという時に「もっと話しておけばよかった」と後悔することも。

この記事では、親との関係を壊さずに、終活の話を自然に始めるコツと、実際に話すときのポイントを詳しく解説します。

なぜ、親に終活の話をしづらいのか?

終活は「死」を連想させる話題でもあるため、年配の親世代にとっては不快に感じたり、タブー視したりする人も少なくありません。

特に、昭和の時代を生きてきた世代は、「家族に迷惑はかけたくない」「でも、自分の老いや死について口にするのは気が引ける」という矛盾した感情を抱えていることがあります。

そのため、子どもから急に「お墓どうするの?」「遺産はどう分ける?」といった現実的な話をされると、

「縁起でもない」 「まだ元気なのに、そんな話をするな」 「そのうち考えるから大丈夫」

という反応になりがちです。

では、どうすれば親の気持ちを傷つけずに、スムーズに話を進めることができるのでしょうか?

親に終活の話をするための5つのステップ

1. 話すタイミングは「非日常」のときがベスト

終活の話をするのに、いきなり日常の中で「ちょっと聞きたいんだけど…」と切り出すと、唐突で構えてしまうことがあります。

おすすめは、親戚の法事・ニュース・ドラマ・本・自分の終活の話題など、“きっかけ”がある場面です。

たとえば…

「この前、○○さんのところで相続でもめたって聞いたよ」 「今テレビで“終活特集”やってたんだけど、知ってる?」 「私、エンディングノートを始めたんだ」

など、“他人ごと”や“自分ごと”として話し始めることで、親に「自分だけが言われている」と思わせない工夫が大切です。

2. 「ちゃんとしておきたい」という親のプライドを尊重する

年齢を重ねると、「自分のことは自分で決めたい」「家族に迷惑をかけたくない」という思いが強くなります。

その気持ちを逆撫でするような「遺言書書いたほうがいいよ」「お墓どうするの?」というストレートな質問はNGです。

代わりに、次のように言葉を選びましょう。

「お父さんの気持ちを聞いておきたいと思って」

「万が一のとき、私が困らないように知っておきたいだけなんだ」

「できるだけ、お父さんの希望通りにしたいから教えてほしい」

このように、親の意思を尊重したいという姿勢を伝えることで、受け入れてもらいやすくなります。

3. いきなり「お金」の話はしない

終活というと「遺産」や「財産」の話と思われがちですが、いきなり「貯金はいくら?」「相続はどうする?」と聞くと、警戒される恐れがあります。

まずはもっと話しやすいテーマから始めましょう。

病気になったときの希望(延命治療、入院、施設など) 万が一のとき、連絡してほしい人は誰か お葬式の希望や、宗教・お墓の考え方 片づけておきたい物のこと(アルバム・仏壇・遺品など)

こうした話題から少しずつ話を広げていくと、結果的に財産や相続の話も自然にできるようになります。

4. 書き出す・見える化する道具を使う

「口で言うだけでは伝わらない」「あとから忘れてしまう」

そんな場合には、エンディングノートやチェックリストを一緒に見ながら話すのも効果的です。

たとえば、「このページ、空欄だけどどう思ってる?」といった問いかけであれば、質問形式ではなく“雑談の延長”で話が進みやすくなります。

また、「このノート、私も書いてるよ」「これから一緒に少しずつ埋めていこう」と共有するスタイルもおすすめです。

5. 一度で終わらせようとしない

終活の話は、1回で全部を決めようとすると、親もあなたも疲れてしまいます。

むしろ、何度かに分けて話すほうが自然で効果的です。

一度目は、話を聞くだけ 二度目は、何を決めたいかを整理 三度目は、具体的に書く・共有する

というように、段階を踏むことで、親の心理的ハードルも下がり、信頼関係も深まります。

「親の終活」は、実は「子どもの安心」でもある

親の終活は、本人のためだけでなく、残される家族のための準備でもあります。

「もしものときに、どう対応すればいいのか分からない」

「何を望んでいたのか、誰にも聞けない」

「兄弟で意見が分かれてしまい、トラブルになった」

このような事態は、終活をしていなかった家庭でよく起こります。

親が元気なうちに話しておくことは、家族全員の“未来の安心”をつくることなのです。

まとめ|親と向き合い、終活の話を「未来の話」に変える

終活は、死に向けての話ではありません。

むしろ「どう生きたいか」「どんな老後を送りたいか」を考えるための、大切な時間です。

そして、その話を一番自然にできるのが、信頼できる家族である“あなた”です。

親に終活の話をするのは、たしかに勇気が要ります。

けれど、「話してよかった」「聞いてくれてよかった」と思える日がきっと来ます。

まずは、小さなきっかけから。

今日のニュース、家族の出来事、あなた自身の終活のこと——どんなことでも構いません。

一歩ずつ、未来への対話を始めてみてください。

ABOUTこの記事をかいた人

1982年生まれ。 現在は神道に関わる仕事に就き、多くの生死を見つめる。 あるとき「父が帰ってこない」と母から電話を受けて、騒ぎになった。 父は81歳で認知が始まっていた。警察に連絡し捜索が始まる直前、ふらりと帰ってきてことなきを得た。 物忘れが激しく、いずれ僕の名前も忘れるだろう。 終活を始めるのは、今しかないと思い、両親とともに様々な終活を開始。 家族は、妻と6歳の長男。 趣味は小説執筆、映画鑑賞など。