近年、「おひとり様の終活」という言葉を耳にする機会が増えました。
未婚・離婚・死別などの理由で単身で生活する人が増える中、「自分の老後や死後のことを、誰がサポートしてくれるのだろう?」という不安を抱える人は少なくありません。
実際、内閣府の調査によると、65歳以上の単身世帯は年々増加し、今後もその傾向は続くと予測されています。
家族に頼れない時代だからこそ、おひとり様の終活支援は、今もっとも重要なテーマの一つです。
この記事では、「おひとり様終活」の基本から、具体的な支援方法、民間サービスの活用法まで、わかりやすく解説します。
目次
1. 「おひとり様」の終活とは?
「終活」とは、人生の終わりを見据えて、自分の希望や身辺整理を前向きに行う活動のこと。
おひとり様の場合、家族に頼れない分、自分でやるべきことが多くなります。
たとえば、
- 財産や契約関係の整理
- 医療や介護の希望を伝える準備
- 葬儀・お墓・遺骨の扱い
- 死後の事務手続き(家の片づけや公共料金の解約など)
こうしたことを「誰が、どのように行ってくれるのか」を決めておくことが、おひとり様の終活の大きなポイントです。
2. おひとり様が終活を始めるべき理由
「まだ元気だから大丈夫」と思っていても、突然の入院や判断力の低下は誰にでも起こり得ます。
おひとり様の場合、緊急時に代わりに動いてくれる家族がいないため、事前の準備がとても大切です。
理由① 判断能力が衰えると、財産管理が難しくなる
認知症などで判断力が低下すると、銀行口座の操作や契約行為ができなくなります。
家族がいれば代理で動けますが、おひとり様は成年後見制度や家族信託などの制度的サポートが必要になります。
理由② 医療・介護の希望を伝えられない
延命治療を受けたいかどうか、どんな施設で介護を受けたいか。
こうした意思を伝える家族がいない場合、医療機関や行政が判断に困るケースもあります。
理由③ 死後の手続き・葬儀・お墓問題
自分が亡くなったあと、遺体の引き取りや葬儀の手配をする人がいない場合、行政が「身寄りのない遺体」として対応することも。
それを避けるためにも、生前に信頼できる支援先を確保しておくことが重要です。
3. おひとり様におすすめの終活支援内容

おひとり様の終活では、「生前」「死後」「葬送後」に分けて支援を検討するとわかりやすくなります。
【生前支援】元気なうちにできること
- エンディングノートの作成
自分の情報・希望・想いをまとめる最初のステップです。
医療や介護、財産、葬儀などを整理しておくことで、いざという時の混乱を防げます。 - 任意後見契約の締結
判断能力が低下した時に備えて、信頼できる人(または法人)に生活支援や財産管理を任せる契約です。
司法書士を通じて契約を結ぶことで、将来の安心が確保できます。 - 家族信託の活用
財産を管理する人を信頼できる親族や専門家に託す仕組み。
不動産や預金の管理をスムーズに行いたい方におすすめです。
【死後支援】亡くなった後の手続きを任せる
- 死後事務委任契約
自分の死後に発生する事務(葬儀、役所への届出、公共料金の解約など)を、信頼できる第三者に任せる契約。
行政書士やNPO法人などが引き受けるケースが増えています。 - 葬儀・納骨の生前予約
おひとり様の多くが悩むのが「お墓問題」。
近年は、「永代供養」「樹木葬」「納骨堂」など、後継者がいなくても安心な供養方法が増えています。
生前に契約しておけば、葬儀の段取りや費用面でもトラブルを防げます。
【葬送後支援】遺品整理・相続対策など
- 遺言書の作成
法的効力のある「公正証書遺言」を作成することで、財産の行方を明確にできます。
親族がいない場合は、寄付や信頼できる団体への遺贈も選択肢になります。 - 遺品整理業者との契約
死後の片づけを事前に依頼しておくことで、孤独死後のトラブルを防げます。
最近では「生前整理+遺品整理」を一括でサポートする業者も増えています。
4. 終活支援サービスの選び方
おひとり様向けの終活支援は、行政・NPO・民間業者など多様な選択肢があります。
選ぶ際のポイントは次の3つです。
- 信頼性(契約実績・資格)
行政書士・司法書士など、法的知識のある専門家が関与しているか確認しましょう。 - サポート範囲の広さ
生前・死後・葬送後のすべてを一貫して支援してくれるかどうか。
「契約はしたけど、葬儀は別会社」という分断型だとトラブルのもとになります。 - 費用の明確さ
終活支援は数万円〜数十万円と幅があります。
「死後事務費用」「永代供養費」「管理費」など、総額でいくら必要かを必ず確認しましょう。
5. 自治体や地域の支援も活用しよう
実は、自治体でもおひとり様を支援する取り組みが広がっています。
たとえば、
- 「身元保証人がいない人のための支援制度」
- 「地域包括支援センターによる終活相談」
- 「福祉葬儀・公営納骨堂の利用案内」
など、住んでいる自治体に相談すれば、費用負担を抑えてサポートを受けられることもあります。
また、地域の社会福祉協議会(社協)では、終活や死後事務に関する相談窓口を設けている場合もあります。
6. まとめ|「おひとり様」でも安心できる終活を
おひとり様の終活支援は、孤独を前提とした準備ではなく、“安心して生きるための支え”です。
- 判断力がある今のうちに、希望を整理する
- 信頼できる専門家や団体と契約する
- 自分の意思をしっかり形に残す
この3つを意識することで、将来の不安は大きく減ります。
終活は「死の準備」ではなく、「これからの人生を自分らしく生きるための準備」。
おひとり様だからこそ、早めに一歩を踏み出すことが、何よりの安心につながります。
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