【墓じまいとは?】費用・手続き・改葬先まで失敗しないためにわかりやすく解説

「実家のお墓を、このまま残しておいて大丈夫かな?」

親が70代になると、実家だけでなくお墓を将来誰が管理するのかも気になってきます。

例えば、

「実家から遠くてなかなか墓参りに行けない」
「子どもにお墓を継がせたくない」
「お墓を守る人がいなくなりそう」
「親が元気なうちに整理しておきたい」

そんなとき、選択肢の一つになるのが「墓じまい」です。

ただし墓じまいは、

「墓石を撤去すれば終わり」

ではありません。

お墓の中にある遺骨を別の墓地や納骨堂などへ移す場合には「改葬」の手続きが必要です。法律上、改葬には市町村長の許可が必要とされています。(厚生労働省)

この記事では、

墓じまいとは何か
どんな費用がかかるのか
どんな手続きが必要なのか
遺骨はどこへ移すのか
寺院とはどう話せばいいのか
業者を選ぶときの注意点

まで順番に解説します。


墓じまいとは?

墓じまいとは一般的に、現在のお墓から遺骨を取り出し、墓石を撤去して墓地を返還することをいいます。

ただし、大切なのは、

「お墓をなくすこと」=「遺骨を処分すること」ではない

という点です。

墓じまいした後は、

永代供養墓
樹木葬
納骨堂
別のお墓

などへ遺骨を移すことが考えられます。

このように、埋蔵・収蔵されている焼骨などを別の墳墓や納骨堂へ移すことを法律上「改葬」といいます。(厚生労働省)

つまり墓じまいでは、

今のお墓をどうする?

だけではなく、

遺骨を次にどこへ移す?

までセットで考える必要があります。


どんな人が墓じまいを考える?

例えば、こんな家庭です。

・子どもが実家から遠く離れて暮らしている
・お墓を継ぐ人がいない
・高齢になり墓参りが難しくなってきた
・子どもにお墓の管理を負担させたくない
・複数あるお墓を一つにまとめたい
・親が元気なうちにお墓について整理したい

ただし、

「管理が大変だから墓じまいしよう」

と一人で決めるのはおすすめしません。

兄弟や親族がお墓参りをしている場合、

「どうして勝手に墓じまいしたの?」

というトラブルになる可能性もあります。

まずは家族・親族で話し合うところから始めましょう。


墓じまいにはどんな費用がかかる?

墓じまいには、一つの料金だけがかかるわけではありません。

主に考えておきたいのは、

① 墓石の撤去・処分費用
② 遺骨を取り出す費用
③ 法要などに関する費用
④ 行政手続きに関する費用
⑤ 新しい納骨先にかかる費用

などです。

さらに寺院墓地の場合は、寺院との関係もあります。

そのため、

「墓じまい○万円」

という広告だけを見て判断するのではなく、

最終的に何にいくらかかるのか

を確認することが重要です。


① 墓石の撤去・処分費用

現在の墓石を撤去し、墓地を返還できる状態にします。

費用は、

墓石の大きさ
墓地の広さ
墓地までの通路
重機が入れるか
墓石の量
地域

などによって変わります。

例えば車両や重機が入りにくい墓地では、人力での作業が増えて費用が高くなる可能性があります。

そのため、ネット上の相場だけで決めるのではなく、実際のお墓を確認してもらったうえで見積もりを取る方が安心です。


② 遺骨を取り出す費用

お墓の中にある遺骨を取り出します。

何人分の遺骨が納められているのか分からないケースもあります。

古いお墓の場合、

「開けてみたら想定より多くの遺骨があった」

ということも考えられます。

事前に分かる範囲で、

誰の遺骨が入っているのか
何人分あるのか

を確認しておきましょう。


③ 閉眼供養などの費用

宗派や地域などによっては、墓石を撤去する前に、

閉眼供養
魂抜き
お性根抜き

などと呼ばれる儀式を行うことがあります。

これは行政上の改葬手続きとは別の、宗教的な儀式です。

寺院によって考え方や方法が異なるため、菩提寺がある場合は確認しましょう。


「離檀料」はどう考える?

寺院墓地の場合、墓じまいをきっかけに檀家を離れるケースもあります。

その際によく聞くのが、

「離檀料」

です。

ここは慎重に進めたいポイントです。

国民生活センターには、墓じまいや改葬をめぐり高額な離檀料を請求されたという相談も寄せられています。2025年12月の特集でも、寺院との関係や墓石撤去費用などを含めた墓じまいの留意点が取り上げられています。(国消センター)

いきなり、

「墓じまいするので書類をください」

だけで話を進めるのではなく、

「子どもが遠方に住んでいて、将来的にお墓を守るのが難しくなってきました」

など、事情を説明しながら相談する方がいいでしょう。


墓じまいの手続きはどうする?

ここが少し複雑です。

現在のお墓から遺骨を取り出して、別のお墓や納骨堂などへ移す場合、勝手に移動させることはできません。

墓地埋葬法では、

改葬には市町村長の許可が必要

と定められています。(厚生労働省)

基本的には次のような流れで進めます。


STEP1|家族・親族で話し合う

最初に、

本当に墓じまいするのか

を話し合います。

特に、

兄弟姉妹
親族
現在のお墓を管理している人

などには確認しておきましょう。

ここを飛ばしてしまうと、後から親族間のトラブルになる可能性があります。


STEP2|新しい納骨先を決める

意外と重要なのが、この順番です。

墓石を撤去することより先に、

「遺骨を次にどこへ移す?」

を考えます。

候補としては、

永代供養墓
樹木葬
納骨堂
別の一般墓

などがあります。

新しい納骨先によって必要な手続きや書類が変わる場合があるので、先に候補を決めておくと進めやすくなります。


STEP3|現在の墓地・寺院へ相談する

現在のお墓の管理者へ、

墓じまい・改葬を検討している

ことを伝えます。

寺院墓地なら、これまでお墓を管理・供養してもらったことへの感謝も伝えながら相談しましょう。

また、改葬許可の申請では、現在の墓地・納骨堂の管理者が作成する、遺骨がそこに埋蔵・収蔵されていることを証する書面が必要とされています。(厚生労働省)


STEP4|改葬許可を申請する

改葬する場合は、

現在、遺骨がある場所の市区町村

へ改葬許可を申請します。

「自分が住んでいる市役所」や「新しいお墓がある市役所」とは限らないので注意しましょう。

法律上、改葬許可を行うのは現在、遺骨が存在する場所の市町村長です。(厚生労働省)

申請書には、死亡者の情報、現在の埋葬・火葬場所、改葬理由、改葬先などを記載し、必要書類を添付します。自治体によって実際の様式や案内が異なるため、現在のお墓がある自治体のホームページや窓口で確認しましょう。(厚生労働省)


STEP5|改葬許可証を受け取る

申請が認められると、

改葬許可証

が交付されます。

新しい墓地・納骨堂などへ遺骨を納める際に必要になります。墓地や納骨堂の管理者は、改葬許可証を受理した後でなければ焼骨を埋蔵・収蔵させることができません。(厚生労働省)

大切な書類なので、紛失しないよう保管しましょう。


STEP6|遺骨を取り出す

必要な行政手続きや墓地管理者との調整をしたうえで、現在のお墓から遺骨を取り出します。

宗派などによっては、その前後に閉眼供養などを行います。

墓石の撤去についても、この段階までに石材店などと日程を調整しておきます。


STEP7|墓石を撤去して墓地を返還する

遺骨を取り出した後、墓石を撤去します。

多くの場合、

墓石を撤去

区画を整地

墓地管理者へ返還

という流れになります。

ただし具体的な返還条件は墓地によって異なります。

「墓石だけ撤去すればいいのか」

「基礎部分まで撤去するのか」

なども事前に確認しましょう。


STEP8|新しい供養先へ納骨する

最後に、新しい供養先へ遺骨を移します。

これで改葬が完了します。


墓じまい後の遺骨はどこへ?

ここで迷う人が多いと思います。

代表的な選択肢を見てみましょう。

① 永代供養墓

寺院や霊園などが管理・供養するタイプです。

「お墓を継ぐ人がいない」

という家庭では選択肢になります。

ただし、

一定期間後に合祀されるのか

など、契約内容を確認しましょう。


② 樹木葬

墓石ではなく、樹木や草花などを墓標・シンボルとするお墓です。

承継者を必要としないプランなどもあります。

ただし樹木葬でも、

個別型
家族型
合祀型

などがあります。

「樹木葬」という名前だけで決めず、将来遺骨がどうなるかまで確認しましょう。


③ 納骨堂

建物などの中に遺骨を収蔵する方法です。

都市部では、

駅から近い
屋内でお参りできる

といった施設もあります。

遠方のお墓を墓じまいして、子どもの自宅に近い納骨堂へ移すという考え方もできます。


④ 別のお墓へまとめる

家族のお墓が複数あるなら、

一つのお墓へまとめる

方法もあります。

例えば、

地方にある親のお墓

子どもの自宅近くにある家族のお墓

へ改葬するケースです。

「お墓をなくす」のではなく、

管理しやすい場所へ移す

という考え方ですね。


散骨を考えている場合は?

墓じまいをきっかけに、

「もう新しいお墓は持たず、散骨したい」

と考える人もいるでしょう。

ただし、改葬の行政手続きと散骨は同じものではありません。

また自治体や墓地管理者との手続き、遺骨の扱いなど個別に確認すべき点があります。

散骨を希望する場合は、現在の墓地がある自治体や墓地管理者、利用する散骨事業者などへ事前に確認してから進めるのが安全です。

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墓じまいの費用は「撤去費」だけで考えない

ここはかなり重要です。

例えば、

「墓石撤去○万円」

という広告があったとしても、

それだけで墓じまい全体の費用が分かるわけではありません。

考えたいのは、

現在のお墓を閉じる費用

新しい供養先にかかる費用

です。

つまり、

墓石撤去
遺骨取り出し
法要など
行政手続き
新しい納骨先

まで含めて考えます。


見積もりではここを確認

墓じまいを業者へ依頼するなら、

・墓石撤去費
・処分費
・整地費
・遺骨の取り出し
・運搬
・行政手続きのサポート範囲
・追加料金が発生する条件
・キャンセル料

などを確認しておきましょう。

「墓じまい一式○万円」

だけではなく、

何が料金に含まれているのか

を見ることが重要です。


石材店は自由に選べる?

ここも先に確認したいポイントです。

墓地や霊園によっては、

指定石材店

が決められている場合があります。

「ネットで安い業者を見つけたから、この業者に頼もう」

と思っても、利用できない可能性があります。

まず現在の墓地管理者へ、

「墓石撤去をお願いする石材店に指定はありますか?」

と確認しましょう。


墓じまいで起こりやすいトラブル

国民生活センターには現在も、墓じまいに関連して、

高額な離檀料を請求された

といった相談が寄せられています。(国消センター)

だからこそ、

「早く墓じまいしなきゃ」

と急いで進めないことが大切です。

特に、

寺院との話し合い
親族との話し合い
改葬先
墓石撤去業者
費用

の5つは、事前に整理しておきましょう。


親が元気なら今のうちに聞いておきたい

親が元気なら、

「お墓をどうしたい?」

と聞けるのは大きなメリットです。

例えば、

「将来、お墓は自分たちに継いでほしい?」

と聞いてみてもいいでしょう。

さらに、

今のお墓を残したい?
墓じまいしてもいい?
誰の遺骨が入っている?
お寺との付き合いは?
永代供養や樹木葬はどう思う?

などを少しずつ確認します。

親自身が、

「子どもに負担をかけたくないから墓じまいしたい」

と思っている可能性もあります。

逆に、

「できれば今のお墓を残してほしい」

という希望があるかもしれません。

本人が元気なうちなら、その気持ちを直接聞けます。


墓じまいするか迷ったら、まずこの5つを確認

いきなり業者を探す前に、

① 今のお墓を将来管理できる人はいる?
② 親本人はどうしたい?
③ 親族はどう考えている?
④ 遺骨を次にどこへ移す?
⑤ 墓じまい全体でいくらかかりそう?

を整理してみましょう。

これだけでも、

「今すぐ墓じまいする必要があるのか」

がかなり見えてきます。


手続きが大変なら墓じまいサービスを利用する方法も

墓じまいは、

墓地管理者との調整
改葬先探し
行政手続き
石材店との調整
墓石撤去
遺骨の移動

など、やることが多くあります。

特に、

「お墓が遠方にある」
「平日に役所へ行く時間がない」
「何から始めればいいか分からない」

という人にとっては負担になりやすいでしょう。

そこで、墓じまいの手続きや墓石撤去などをサポートするサービスを利用する方法もあります。

\ 墓じまい、何から始めればいい? /

墓石の撤去や改葬の手続きなど、
自分たちだけで進めるのが不安な方は、
墓じまいの専門サービスに相談する方法もあります。

墓じまいの費用・サービス内容を確認する

※料金・対応地域・サポート内容を確認してから検討できます


墓じまいサービスを選ぶときのポイント

特定の業者へ誘導する記事だからこそ、広告だけでなく選び方も書いておくと信頼につながります。

確認したいのは、

対応地域
墓石撤去まで対応するか
行政手続きのサポート範囲
改葬先の相談ができるか
見積もり後の追加料金
キャンセル条件

などです。

また、墓地に指定石材店がある場合は、墓石撤去をそのサービスへ依頼できない可能性があります。

「どこからどこまで代行してもらえるのか」

を確認してから申し込みましょう。


まとめ|墓じまいは「お墓をなくす」だけではない

墓じまいを考えるときに一番大切なのは、

墓石を撤去することだけを目的にしないこと

です。

考える順番は、

家族・親族で相談

新しい供養先を考える

現在の墓地・寺院へ相談

改葬の手続き

遺骨を取り出す

墓石を撤去

新しい場所へ納骨

というイメージです。

改葬には市町村長の許可が必要ですので、自己判断で遺骨を移さず、現在のお墓がある自治体や墓地管理者へ確認しながら進めましょう。(厚生労働省)

そして親が元気なら、

「このお墓、将来どうしてほしい?」

と聞いてみてください。

墓じまいするかどうかを決める前に、本人の希望を知っておくことが大切です。

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ABOUTこの記事をかいた人

1982年生まれ。 現在は神道に関わる仕事に就き、多くの生死を見つめる。 あるとき「父が帰ってこない」と母から電話を受けて、騒ぎになった。 父は81歳で認知が始まっていた。警察に連絡し捜索が始まる直前、ふらりと帰ってきてことなきを得た。 物忘れが激しく、いずれ僕の名前も忘れるだろう。 終活を始めるのは、今しかないと思い、両親とともに様々な終活を開始。 家族は、妻と6歳の長男。 趣味は小説執筆、映画鑑賞など。