【親の終活】遺言書は必要?作った方がいい家庭・書き方・注意点をわかりやすく解説

「うちの親も遺言書を書いた方がいいの?」

「財産が多くなくても必要?」

「自分で書いた遺言書でも有効なの?」

親の終活を考え始めると、こんな疑問が出てくる方も多いと思います。

遺言書というと、

「お金持ちの家庭が作るもの」

というイメージがあるかもしれません。

でも実際には、財産の多さだけではなく、

「家族が相続で困らないために必要か」

という視点で考えることが大切です。

この記事では、70代以上の親を持つ40〜50代の方に向けて、

・遺言書を作った方がいい家庭
・代表的な遺言書の種類
・自筆証書遺言の基本
・作成するときの注意点
・親への切り出し方

をわかりやすく解説します。


そもそも遺言書とは?

遺言書は、亡くなった後の財産などについて、本人の意思を残しておくためのものです。

例えば、

「自宅は妻に相続させたい」

「預貯金は子ども2人で分けてほしい」

など、亡くなった後にどの財産を誰に渡すかについて意思を示すことができます。

遺言書がない場合、相続人が複数いれば、遺産分割について話し合うことになるケースがあります。

家族の仲が良かったとしても、

「実家は誰が相続する?」

「預金はどう分ける?」

となった瞬間、意見が合わなくなることもあります。

遺言書は単に財産を分ける書類ではなく、残された家族の負担を減らすための準備の一つとも言えます。


遺言書を作った方がいい家庭とは?

すべての家庭に必ず遺言書が必要というわけではありません。

ただし、次のような家庭では一度検討しておく価値があります。

① 相続人が複数いる

例えば、

・母
・長男
・長女

など、複数の相続人がいるケースです。

財産をどう分けるかについて意見が分かれる可能性があります。

特に親が、

「この財産はこの子に残したい」

という希望を持っている場合は、遺言書を検討してもいいでしょう。


② 財産の多くが実家などの不動産

これは一般家庭でも起こりやすいケースです。

例えば、

実家3,000万円
預貯金1,000万円

という財産だった場合。

預金なら分けやすいですが、実家を物理的に2人・3人で分割することはできません。

「誰が実家を相続する?」

「売って現金化する?」

「住み続けたい人がいる」

など、話し合いが複雑になる可能性があります。

財産総額がそれほど大きくなくても、不動産の割合が高い家庭では遺言書を検討する意味があります。


③ 子ども同士の関係があまり良くない

「今は普通に話しているから大丈夫」

と思っていても、相続をきっかけに関係が悪化するケースはあります。

特に、

・兄弟姉妹で関係が悪い
・長年疎遠になっている
・親の介護をした人としていない人がいる

といった場合は注意したいところです。


④ 再婚している・前の結婚の子どもがいる

家族関係が複雑な場合も、遺言書を検討する理由になります。

例えば、

「再婚した配偶者」

「前の配偶者との子ども」

が相続人になるケースなどです。

本人が考えていた財産の分け方と、法律上の相続関係が一致するとは限りません。

こうした場合には専門家へ相談しながら作成する方が安心です。


⑤ 相続人以外の人にも財産を残したい

例えば、

・長年介護してくれた人
・内縁のパートナー
・特定の親族
・団体など

に財産を渡したい場合です。

法定相続人ではない人に財産を残したい場合には、遺言を利用する方法があります。


遺言書にはどんな種類がある?

一般的によく利用されるのが、

自筆証書遺言

公正証書遺言

です。

大まかな違いを見てみましょう。

自筆証書遺言公正証書遺言
作成原則として本人が自筆公証人が作成
費用比較的少ない手数料が必要
保管自宅または法務局など原本を公証役場で保管
紛失リスク自宅保管ならあり低い
手続き方式に注意専門家が関与
検認原則必要※原則不要

※法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書は、家庭裁判所での検認が不要です。法務局で原本と画像データが保管されるため、紛失や改ざんを防ぐ仕組みにもなっています。 (法務省)


自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言は、その名の通り、本人が自分で作成する遺言書です。

紙とペンがあれば作成できるため、比較的始めやすい方法です。

ただし、

「紙に希望を書けば何でも遺言書になる」

というわけではありません。

法律で定められた方式を守る必要があります。

そのため、

「自分で作ったけど、亡くなった後に無効だった」

という事態を避けるためにも、作成方法には注意が必要です。


自筆証書遺言を書くときの基本ポイント

自筆証書遺言を作る際は、少なくとも次のような点に注意します。

① 本人が自筆する

本文については原則として本人が自筆します。

誰かに代筆してもらったものや、パソコンだけで作成した本文では、自筆証書遺言として問題になる可能性があります。

なお、財産目録については一定の要件のもとパソコン作成などが認められる場合があります。


② 日付を書く

遺言書には日付が必要です。

例えば、

2026年9月9日

のように、いつ作成したのか分かるようにします。

「2026年9月吉日」のような曖昧な書き方は避けます。


③ 氏名を書く

遺言者本人の氏名を記載します。


④ 押印する

自筆証書遺言では押印も重要な要件の一つです。


⑤ 誰に何を渡すのか具体的にする

例えば、

「長男に家をあげる」

だけではなく、不動産であれば所在地などを確認しながら、どの財産を指しているのか分かるように記載することが重要です。

預金についても、

「○○銀行○○支店の預金」

など、財産を特定できる形にしておくと分かりやすくなります。


法務局で遺言書を保管してもらえる

自筆証書遺言を作る場合に知っておきたいのが、

自筆証書遺言書保管制度

です。

これは、作成した自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度です。

自宅に遺言書を置いていると、

「どこに置いたか分からない」

「家族が見つけられない」

「紛失した」

といったリスクがあります。

法務局で保管してもらえば、原本が適切に管理され、相続開始後には相続人などが遺言書の有無を確認する仕組みもあります。 (法務省)

さらに、法務局で保管されている遺言書については家庭裁判所の検認が不要です。 (法務省)


法務局に預ければ内容まで保証してくれる?

ここは注意してください。

法務局では、遺言書の方式について外形的な確認を行いますが、遺言内容そのものの法律的な有効性まで保証してくれる制度ではありません。

例えば、

「この財産の分け方なら将来トラブルにならない?」

「遺留分の問題は?」

「この書き方で自分の希望が実現できる?」

という点まで判断してもらえるわけではありません。

複雑な相続の場合には、弁護士や司法書士など専門家への相談を検討しましょう。


自宅で自筆の遺言書を見つけたら勝手に開けない

親が亡くなった後、自宅から封をされた自筆証書遺言が見つかることがあります。

この場合、家庭裁判所の検認が必要となる遺言書については、勝手に開封しないよう注意が必要です。

裁判所も、自筆の遺言書を発見した場合には、自分で開封せず、速やかに遺言書の検認を申し立てるよう案内しています。 (最高裁判所)

ただし、先ほど紹介した法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた遺言書は検認不要です。


公正証書遺言とは?

「自分で書いて間違えないか心配」

「財産が多い」

「相続関係が複雑」

という家庭では、公正証書遺言を検討する方法もあります。

公正証書遺言は、公証人が法律に定められた方式に従って作成する遺言書です。

費用はかかりますが、

・方式上の不備が起こりにくい
・原本が公証役場で保管される
・紛失・改ざんのリスクを抑えられる

といったメリットがあります。

特に、

再婚家庭

不動産が多い家庭

相続人同士でもめる可能性がある家庭

などでは、専門家と相談しながら公正証書遺言を検討してもいいでしょう。


「遺言書があれば絶対にもめない」わけではない

これも大切なポイントです。

遺言書を作れば、

「絶対に相続トラブルが起きない」

とは言い切れません。

例えば、一定の相続人には遺留分という最低限保障される相続上の権利があります。

極端な内容の遺言によって遺留分が問題になることもあります。

また、

「なぜ兄だけ多いの?」

「私は親の介護をしてきたのに」

という感情的な問題もあります。

遺言書は非常に重要ですが、可能であれば生前に家族へ考え方を伝えておくことも大切です。


遺言書を書いたら「あること」を家族に伝える

せっかく遺言書を書いても、

家族が存在を知らなければ困ります。

もちろん内容をすべて家族に見せる必要はありません。

ただ、

「遺言書を作っている」

「法務局で保管している」

「重要書類はここにある」

など、存在や保管方法だけでも伝えておくといいでしょう。


遺言書は一度書いたら終わりではない

終活は一度やれば終了ではありません。

例えば、

・財産を売却した
・銀行口座を整理した
・家族構成が変わった
・相続させたい内容が変わった

ということもあります。

そのため、遺言書を作成した後も、数年に一度など状況が変わったタイミングで内容を確認すると安心です。


親に遺言書の話をどう切り出す?

これが一番難しいかもしれません。

いきなり、

「遺言書を書いてよ」

と言うと、

「早く死ねってこと?」

と受け取られてしまう可能性があります。

おすすめなのは、

「もしものときに、兄弟でどうすればいいか分からなくなると困るから、お父さんの希望だけでも聞いておきたいんだ」

というように、

親の財産が欲しいからではなく、親の希望を尊重したい

という形で話すことです。

また、

「知り合いが相続で大変だったみたい」

「最近、相続の記事を読んだ」

など第三者の話から始めてもいいでしょう。


まず確認したい5つ

親と遺言書について話すなら、最初から作成を迫る必要はありません。

まずは、

① 遺言書をすでに作っている?

② 作っているならどの種類?

③ どこに保管している?

④ 誰にどの財産を残したいという希望がある?

⑤ 家族に伝えておきたいことはある?

この5つを少しずつ確認していきましょう。


こんな家庭は専門家への相談も検討

特に、

・相続人が多い
・再婚している
・前婚の子どもがいる
・不動産が複数ある
・特定の人に多く財産を残したい
・相続人以外に財産を残したい
・家族間でもめる可能性がある
・遺留分が気になる

といった場合には、自分たちだけで判断せず専門家に相談する方法があります。

遺言書を作りたいけれど、誰に相談すればいい?

\ うちの親、遺言書は必要? /

必要な家庭・書き方・注意点を確認しておきましょう。

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まとめ|遺言書は「財産が多い人だけ」のものではない

遺言書を考える基準は、

「財産がいくらあるか」だけではありません。

特に、

・相続人が複数いる
・実家など分けにくい財産がある
・家族関係が複雑
・特定の人に財産を残したい
・自分の希望を明確に残しておきたい

という家庭では、一度検討してみる価値があります。

そして一番大切なのは、

「親が元気で、自分の意思を伝えられるうちに考えること」

です。

いきなり遺言書を書いてもらう必要はありません。

まずは、

「もしものとき、どうしてほしい?」

という家族の会話から始めてみましょう。


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ABOUTこの記事をかいた人

1982年生まれ。 現在は神道に関わる仕事に就き、多くの生死を見つめる。 あるとき「父が帰ってこない」と母から電話を受けて、騒ぎになった。 父は81歳で認知が始まっていた。警察に連絡し捜索が始まる直前、ふらりと帰ってきてことなきを得た。 物忘れが激しく、いずれ僕の名前も忘れるだろう。 終活を始めるのは、今しかないと思い、両親とともに様々な終活を開始。 家族は、妻と6歳の長男。 趣味は小説執筆、映画鑑賞など。