【実家を相続したらどうする?】名義変更・売却・相続登記までわかりやすく解説

「親が亡くなったら、実家はどうすればいい?」

「とりあえず親名義のままでも大丈夫?」

「誰も住まないなら売った方がいい?」

親の相続を考えたとき、預貯金と並んで大きな問題になりやすいのが実家などの不動産です。

預貯金なら分けることができますが、家や土地は簡単には分けられません。

さらに現在は相続登記が義務化されています。

この記事では、70代以上の親を持つ40〜50代の方に向けて、

・実家を誰が相続する?
・名義変更はどうする?
・相続登記の期限は?
・住まない実家はどうする?
・売却する場合の注意点

を分かりやすく解説します。


親が亡くなったら実家は誰のものになる?

まず、

「長男だから自動的に実家を相続する」

というわけではありません。

遺言書がある場合はその内容を確認し、遺言書がない場合などは相続人同士で遺産分割について話し合うことになります。

例えば父親が亡くなり、

・母親
・長男
・長女

が相続人だった場合、

「母親が実家を相続する」

「長男が実家を相続して、ほかの財産を母親と長女で分ける」

など、家庭の状況に合わせて考えていきます。


実家の相続が難しい理由は「分けにくい」から

例えば親の財産が、

実家 3,000万円相当
預貯金 1,000万円

だったとします。

子ども2人で相続する場合、

「預金は500万円ずつ」

のように単純に分けられますが、実家はそうはいきません。

そのため、

誰が実家を取得する?

実家を取得する人が他の相続人にお金を払う?

実家を売却して代金を分ける?

といった判断が必要になります。

これが、実家の相続で家族がもめやすい理由の一つです。


実家を相続したら「相続登記」が必要

実家を相続したら忘れてはいけないのが、相続登記です。

簡単に言えば、

不動産の名義を亡くなった親から相続した人へ変更する手続き

です。

以前は相続登記が義務ではありませんでしたが、2024年4月1日から義務化されています。

不動産を相続したことを知った日から原則3年以内に相続登記を申請する必要があります。正当な理由なく義務に違反すると、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。 (法務省)

「誰も実家に住まないから、そのままでいい」

とは考えない方がいいでしょう。


昔の相続で親名義のままでも対象?

ここも注意が必要です。

相続登記の義務化は、2024年4月1日より前に発生した相続も対象です。

2024年4月1日より前に相続したことを知っていた不動産については、原則として2027年3月31日までに相続登記をする必要があります。 (法務省)

「祖父が亡くなったときから名義を変えていない」

といった不動産が親の財産に含まれている場合は、特に注意しましょう。


相続登記には何が必要?

状況によって必要書類は変わりますが、一般的には、

・亡くなった方の戸籍関係書類
・相続人の戸籍・住民票など
・固定資産評価証明書など
・遺産分割協議書
・印鑑証明書
・遺言書(ある場合)

などが必要になることがあります。

相続関係や遺言書の有無によって必要な書類が変わるため、実際の手続きでは法務局や司法書士などへ確認すると安心です。

法務省「相続登記の義務化」


相続した実家はどうすればいい?

相続したからといって、必ず売る必要はありません。

大きく考えると、

① 自分や家族が住む

② 賃貸などで活用する

③ そのまま所有する

④ 売却する

という選択肢があります。

どれが正解というわけではなく、

・家族が住む予定
・実家の場所
・建物の状態
・維持費
・固定資産税
・将来の利用予定

などを考えて決める必要があります。


「とりあえず実家を残す」は要注意

親が亡くなった直後は、

「思い出もあるし、今すぐ売るのは……」

と感じるのも自然です。

すぐに結論を出す必要がない場合もあります。

ただし、誰も住まない実家を所有し続ければ、

・固定資産税
・火災保険など
・庭木や雑草の手入れ
・建物の修繕
・防犯
・定期的な換気や清掃

など、費用や管理の負担が発生します。

遠方に住んでいる場合には、実家へ通う交通費や時間も必要です。

そのため、

「何となく残す」

のではなく、

「5年後、この家をどうしたい?」

というところまで考えてみましょう。


兄弟で実家を共有すればいい?

「誰が相続するか決められないから、とりあえず兄弟2人の共有名義にしよう」

という考え方もあります。

ただし、共有不動産では将来、

「売りたい人」と「残したい人」で意見が分かれる

など、管理・処分について調整が必要になる場面があります。

さらに共有者が亡くなって次の相続が起きると、権利関係がさらに複雑になる可能性もあります。

共有にする場合は、

「将来この家をどうするのか」

まで家族で話しておくことが重要です。


誰も住まないなら売却も選択肢

例えば、

・子ども全員が持ち家を持っている
・実家から遠方に住んでいる
・今後住む予定がない
・維持管理が負担
・建物の老朽化が進んでいる

といった場合には、売却も選択肢になります。

売却すれば、実家という分けにくい財産を現金に変えられるため、相続人同士で分けやすくなるメリットもあります。

ただし、

「とにかく早く売ってしまえばいい」

というわけでもありません。

まずは、

「実家はいくらくらいで売れそうなのか」

を把握してから家族で話し合う方法があります。


売却前に「いくらで売れそうか」を確認する

実家の価値について、

「固定資産税評価額が○○万円だから、それくらいで売れる」

とは限りません。

実際の売却価格は、

・立地
・土地の広さや形
・建物の築年数
・接道状況
・周辺の取引状況

などさまざまな条件によって変わります。

そのため、売却を考えるなら、不動産会社などに査定を依頼して市場での売却価格の目安を確認する方法があります。

\ 実家を売るか迷っている方へ /

まずは今の価値を知っておくと、
家族で今後を話し合いやすくなります。

専門家に相談する

※査定結果を見てから売るかどうか判断できます


相続した実家を売ると税金がかかる?

実家を売って利益が出た場合には、譲渡所得として税金が発生することがあります。

基本的な計算は、

売却価格 −(取得費+譲渡費用)−特別控除額

です。 (国税庁)

ここで注意したいのが、

「相続したときの不動産評価額=取得費」ではない

という点です。

相続した土地・建物を売却した場合、原則として亡くなった親などがその不動産を取得した際の購入代金等を引き継いで計算します。 (国税庁)

そのため、

親が実家を買ったときの売買契約書

などが残っているか確認しておくことも大切です。


相続税を払った人には特例が使える場合も

相続税を支払った人が相続した不動産を一定期間内に売却した場合、支払った相続税の一部を譲渡所得の取得費に加算できる**「取得費加算の特例」**を利用できる場合があります。

適用には条件と期限があります。 (国税庁)

また、相続した空き家の売却には別の特例が適用できるケースもあります。

税金は、

・誰が住んでいたか
・いつ相続したか
・いつ売ったか
・相続税を払ったか
・建物の状況

などによって大きく変わります。

実際に売却する際には、税理士などへの確認をおすすめします。


「いらない土地」は国に返せる?

2023年から相続土地国庫帰属制度も始まっています。

一定の要件を満たす場合、相続などによって取得した土地を国庫に帰属させることができる制度です。 (法務省)

ただし、

「いらない土地なら何でも無料で国が引き取ってくれる」

という制度ではありません。

土地には要件があり、審査もあります。また、承認後には負担金も必要です。

売却が難しい土地などを相続した場合の選択肢の一つとして知っておくといいでしょう。

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親が元気なうちに確認しておきたい5つ

実家の相続で困らないために、今から確認しておきたいことがあります。

① 実家の名義は誰?

「当然、父親だと思っていた」

ところ、実は祖父名義のままだったということもあります。

まず登記の状態を確認しましょう。

② 実家以外の土地はない?

田畑・山林・昔購入した土地などがないか確認します。

③ 権利証などの書類はどこ?

登記識別情報など、不動産関係の書類の保管場所を確認しておきましょう。

④ 親は実家をどうしてほしい?

「子どもに住んでほしい」

「誰も住まないなら売っていい」

など、親自身に希望があるかもしれません。

⑤ 子どもは実家をどうする?

親の希望だけでなく、相続する側も、

住むのか・残すのか・売るのか

を考えておく必要があります。


親に実家の話をどう切り出す?

いきなり、

「この家、死んだら売っていい?」

では、さすがに話しにくいですよね。

例えば、

「この家も将来どうするか考えないといけないよね。お父さんたちは、どうしてほしいと思ってる?」

くらいから始める方法があります。

ポイントは、

「財産が欲しいから聞いている」のではなく、「親の希望を知っておきたい」

という形にすることです。

終活の話は、一度ですべて決める必要はありません。


実家の相続で専門家に相談した方がいいケース

例えば、

・誰が相続するか決まらない
・兄弟でもめている
・名義が何世代も前のまま
・不動産が複数ある
・相続税が発生しそう
・売却時の税金が分からない
・共有名義になっている

といった場合は、司法書士・税理士・弁護士など、内容に応じた専門家への相談を検討しましょう。

相続登記と税金、遺産分割では、それぞれ相談先が異なる場合があります。


まとめ|実家は「相続してから考える」より今から話しておこう

実家の相続では、

① 誰が相続する?
② 相続登記をする
③ 住む・残す・活用する・売るを決める
④ 売るなら価格と税金を確認する

という流れで考えると整理しやすくなります。

特に現在は相続登記が義務化されているため、親名義のまま長期間放置することは避けましょう。 (法務省)

そして一番大切なのは、親が元気なうちに、

「この実家、将来どうしたい?」

と家族で話しておくことです。


次に知りたいことは?

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ABOUTこの記事をかいた人

1982年生まれ。 現在は神道に関わる仕事に就き、多くの生死を見つめる。 あるとき「父が帰ってこない」と母から電話を受けて、騒ぎになった。 父は81歳で認知が始まっていた。警察に連絡し捜索が始まる直前、ふらりと帰ってきてことなきを得た。 物忘れが激しく、いずれ僕の名前も忘れるだろう。 終活を始めるのは、今しかないと思い、両親とともに様々な終活を開始。 家族は、妻と6歳の長男。 趣味は小説執筆、映画鑑賞など。